ドラゴンが泣いている

トンネルを抜ければ、そりゃ僕だってアイラインビシッと跳ね上げるのに。
僕が下手なのは自分との付き合い方。
ガラス越しに流れる景色が雪だね。
僕の髪をなでる手があの頃みたい。
お前らしくないと、短く切りそろえた爪が言う。
人の手があったかいってそんな当たり前のことさえ分からなくなっていた。
僕たちはお互いに「馬鹿だなぁ」なんて言ってピアスの穴をあけっこした。
ありがとうは自分を許す言葉。
今はまだ傷口にしみるけれど、少しずつ僕を楽にしてくれる。
僕が下手なのは自分との向き合い方。
背中のドラゴンが泣いている。